検証甲子園


2010年07月23日 明石球場  

神戸国際大付vs育英

2010年夏の大会 第92回兵庫大会 3回戦



8回裏、松村がスクイズを決める

神戸国際新時代。

 そもそも、こんな見方をすること自体が、間違いなのだろう。
「国際も、粘り強いチームになったなぁ」という、うがった見方である。

 戦前から投手戦になるだろうと予想された優勝候補同士の対戦は、期待を裏切らない白熱した投手戦の展開になった。こういう戦いになると、勝者と敗者が分かれるのは、主砲の一発かちょっとしたミスで決まるものだ。

神戸のやんちゃくれ個性派集団と揶揄され、接戦に弱かった過去の神戸国際大付からすれば、戦い難い試合展開なのである。ところが、今の神戸国際大付に、そんな脆さはない。

 1回裏に神戸国際大付が1点を先制、育英がすぐさまの2回表に追いつく。そこからは投手戦になった。8回表に、神戸国際大付のエース・岡本にアクシデントが起こり、緊急降板することになったが、交替の大川が好投を見せ、投手戦の様相は変わらなかった。

8回裏に、神戸国際大付が1点を勝ち越すものの、9回表に育英が二死からの連打で追いついた。意地と意地のぶつかり合いである。最後は神戸国際大付の気迫が勝り、二死満塁から、代打・寺田の中前適時打で試合は決した。終盤はひとつひとつの細かなプレーが試合を左右したが、それでも、神戸国際大付は崩れなかった。

「うちらしい試合。去年の秋から、守備を自信にしてきたので、そういう試合で勝てた。競ったら負けない自信はある」。そういったのは二塁手の真野である。

試合経過を流し気味に書いたが、この試合は細かな部分で、終盤での守備力の差が出た試合でもあった。8回裏、神戸国際大付の攻撃、無死から真野が出塁した後、育英はフィルダースチョイス、ボークなどを立て続けに犯し、リズムを失っていた。9回裏のサヨナラにしても、石井の右翼前安打から、犠打エラーと続きピンチを拡大させていたものだったのだ。神戸国際大付は無失策だったから、この差は大きい。

いってみれば、真野の言葉は、神戸国際大付が過去のチームとは違った強さを身につけていることを如実に語ったものであったのだ。青木監督は過去のことを引き合いに出して、「個性派集団」と言われることを良しとしない。「昔はこうだったからとかは、今の子らには関係ないでしょ。そんな言うんはやめにしましょ。もうエエやろって思うんです」と以前に話してくれたことがある。

過去のイメージだけで、彼らの印象を語るのは得策ではない。今、ここで彼らが展開する野球、それが真実なのである。

「こういう展開で、フィルダースチョイスとかは、致命的なミスでしょ。そういうがこっちには出なかったんでね、よう粘ったんちゃいますかね」。青木監督はそういって、勝利の味を噛みしめた。

激戦区・兵庫には神戸国際大付の、新時代が到来しようとしている。

(文=氏原 英明


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