検証甲子園


2010年07月15日 明石公園野球場

神戸国際大付vs飾磨工

2010年夏の大会 第92回兵庫大会 2回戦



岡本健(神戸国際大付)


中断2時間の果てに・・・

 兵庫大会の優勝候補・神戸国際大付が登場。エース岡本健(3年)が先発するとあって、スタンドからはプロ10球団のスカウトが熱視線を送った。 だが試合が成立した後の8回裏途中、雷をともなった強烈な雨でコールドゲームとなった。

 『降雨コールドゲーム』

 言葉で表せば簡単だが、最後の夏にかける選手たちにとってはやはり、すっきりしないものが残る。この試合の開始から降ったり止んだりを繰り返した雨が、8回裏に急激に強くなった。追い打ちをかけるように空がピカッと光る。殿川球審はそれをみて中断を決意した。時間は15時33分。

 グランドはあっという間に泥池に。まさしく試合再開は絶望的に思える状況だった。

 30分待った16時すぎに両チームの責任教師を呼んだ大会本部はこう告げる。「もしゲームが成立してなければ、これ以上は続けられる状態じゃない。でも成立しているので大会本部、審判、グランドキーパーの方も何とか最後までやらせて上げたいと思っている。16時半をすぎて止んでくれば、グランド整備をして再開したい」。

 その願いは16時半に叶い、雨がピタリと止んだ。大会本部は再び両校を呼んだ。

「整備をして1時間後を目途に再開したい」両チームに異存がないことを確認すると、大会本部はこう付け加えた。「この1時間でもう一度しっかり気持ちを高めて下さい」。場内アナウンスで盛り上がった両チームのスタンド。両チームの控え部員が手伝い、グランド整備は順調に進んだ。予定より早く・・・

 だが、17時15分。

40分近くかかったグランド整備が終わり、まさに試合を再開しようとした矢先だった。再開を待ち望んだ全ての人を欺くトドメの雨がグランドを叩きつける。思わず、空を仰いだ両チームの選手、関係者。大会本部はついに辛い決断を下さざるをえなかった。

 殿川球審がコールドゲームを宣告する手を挙げると、それまで明るく雰囲気のよかった飾磨工の選手は、時間が立つにつれて悔しさが込み上げてきた。覚悟はしていたはずだが、やりきれない思い。

 「あのまま9回までやっても負けの流れだった。でも(最後までやって)選手たちを成仏させてあげたかった」と渡邉正監督は悔しそうな表情を隠せなかった。

 神戸国際大付の岡本と保育園の時からの幼馴染だという西塚将太主将(3年)は「9回は自分が先頭打者で、チャンスを作るつもりで準備をしていた。ツキがないのかなと思う。悔いが残ります」と無念の様子。 あと1イニング、神様は待てなかっただろうか。

 最後に岡本のピッチングについても触れておきたい。

 8回を投げて4安打無失点、奪った三振は毎回の10個だった。だが、「球が指にしっかりとかかっていなかった」と本人が話すように、直球が走らず変化球に頼らざる得ないピッチング。結局奪った三振は全てスライダーでのものだった。

 さらに中断の間に気持ちが切れかかったことも反省。青木尚龍監督は「中断の時、岡本に行けるかと聞いたら返事が今ひとつだった」と再開していたならば、2年生左腕の大川賢人にスイッチすることを決めていたようで、「最後まで試合をして投げ切りたかった」と勝ったものの、スッキリとしない様子だった。

(文=松倉 雄太


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